権威への服従原理が与える心理とは?マーケティングにも活かせる?

権威への服従原理はミルグラム効果とも呼ばれ、権威や地位のある人物の命令に対して無条件に応じたり信じてしまったりする心理効果を言います。権威への服従原理はどのような場面で使用されるのか、マーケティングにも活用できるのかなどをご紹介します。

高島吉成
高島吉成
こんにちは、高島吉成です。
人間は肩書や地位のある人物に対して、無条件に命令を聞いてしまう特性を持っています。

心理実験でも実証されている権威への服従原理は一種の心理効果であり、意識していない場合でも潜在的に作用してしまう場合もあるのです。
今回は、権威への服従原理が与える心理効果やマーケティングでの活用についてご紹介しましょう。

権威への服従原理がもたらす影響

権威への服従原理がもたらす影響

権威への服従原理とは?

人間は権力や肩書、地位のある人間の命令に従いやすい傾向があり、ほぼ無条件に命令を聞いてしまう特性を持ちます。
権力者に服従することを社会心理学的で「権威への服従原理」もしくは、「ミルグラム効果」と呼びます。
権力や肩書などを意識しているつもりはなくても、潜在意識の中で作用しているため、無意識の段階で起きるのが権威への服従原理の特徴です。
例えば専門家や医師の話を聞いた場合、実際に信憑性があるかどうかに関わらず、述べた意見が正しいと信じてしまう人がほとんどでしょう。
個人的に意識していなくても、潜在的に権威への服従原理が働いて医師の言葉を信じ込んでしまうのです。
権威に対して無条件で聞き入れてしまう傾向は、実際の心理実験でも実証されているため誰に対しても見られる人間の特性と言えます。

ミルグラム実験での実証がある

ミルグラムの電気ショック実験では、権威への服従原理が実証されています。
心理実験を行ったのはイェール大学のスタンレー・ミルグラム博士で、内容は被験者を教師と生徒約に分けて、権威への服従原理がどのように働くかを調べました。
表向きでは学習に及ぼす罰の効果や測定実験として伝えていて、くじ引きによって選ばれた生徒役と教師役を決めて、生徒役は別室で電気イスに座り、教師役から出題される簡単なクイズに答えていくというものです。
もし生徒役が答えを間違えてしまった場合、教師役が生徒に罰として電気ショックを与えていき、電気ショックは1問間違えるたびに1段階ずつレベルを上がっていきます。
電気ショックのレベルは15ボルトから450ボルトまでの30段階まであり、400ボルト以上になると死の危険があるという説明がされました。
仮に電気ショックによって生徒役が亡くなっても、被験者に罪はないと説明された後から実験は開始しています。
実際には電気ショックを受ける電気イスは偽物であり、生徒役は事前に決められた人が行っており、被験者は教師役のみとなります。
そのため、生徒役には電気ショックが与えられたら悲鳴を上げるなどの演技を行うように指導してから実験が行われました。
実験開始後、教師役が生徒役に問題を出し、答えを間違えるたびに電気ショックを与えていき、レベルも1段階ずつ上げていきます。
電気ショックを与えられた生徒役は悲鳴を上げるため、教師役の被験者は最初ためらいながらも間違う度にレベルを上げて電気ショックを与え続けました。
教師役の被験者の近くには、電気ショックを与えるように指示する白衣の博士役を立たせて毎回指示を出し、電気ショックのボタンを押すように仕向けます。
実験終了の目安は、博士役の指示に従わずに電気ショックのボタンを押さなかった時点です。
実験は白衣の博士役の指示を守り、生徒役が無反応になるまで電気ショックを与えた教師役は40人中25人(約62%)という結果となり、中には最後の450ボルトまで押した教師役もいました。

肩書きに弱い人間の心理

ミルグラム実験での実証から分かったことは教師役が実験の被験者であり、白衣の博士役の指示をどこまで受け入れるかという点です。
教師役だけでは高圧な電気ショックを与えることはなかったと推測できますが、毎回電気ショックのボタンを押すように指示を出していたのが白衣の博士役です。
”白衣の博士”という肩書に教師は逆らえず、自分の良心とは相反して指示を聞こうとしてしまう意識が働いていたことが分かります。
実際に白衣の博士役は本物の博士ではなく、肩書があるように見せかせていただけですが、それでも被験者が権威や肩書があるように感じたため、権威への服従原理が働いたと考えられます。

権威への服従原理の具体例・実は身の回りにたくさん!

権威への服従原理の具体例・実は身の回りにたくさん!

薬の服用

高島吉成
高島吉成
薬の服用においても権威への服従原理は働いています。

医師に処方された薬を何の疑いもなく、指示通りに飲むという命令を無意識に聞いている方がほとんどでしょう。
権威への服従原理が働き、医師という肩書の命令に従い、与えられた薬を服用とする構図が出来上がっているのです。

専門家への意識

専門家への意識においても、同じように権威への服従原理が働いています。
例えば一般人の意見によって生まれた花粉用マスクと、専門家の技術と研究によって開発された花粉用マスクがあったとしましょう。
後者の方が専門家によって花粉の研究を元に作られたと解釈できるので、効果がより高いように感じるやすくなります。
一般人の意見よりも”専門家”という肩書の方が地位は高いため、権威が心理効果を招いているのです。

モンドセレクション

製品の技術水準を審査し、モンドセレクションより与えられた認証を賞として「モンドセレクション○○賞受賞」と表記している製品が存在します。
ここ数年で浸透しているモンドセレクションはベルギーの民間団体のことですが、”モンドセレクション”や”金賞”などの文言に心理効果が働きます。
認知度の高い賞を受賞していると立派な製品だと感じたり、高水準のものだと思い込んだりする心理も権威への服従原理そのものでしょう。

権威への服従原理を使ったビジネスとは?

権威への服従原理を使ったビジネスとは?

商品・サービスの監修

商品やサービス名などに専門家や研究者などの名前と共に”監修”というワードを付け加えることで、商品やサービスに付加価値を付けてビジネスを成功させることも可能です。
専門家による監修がされていることで、商品やサービスに対しての信頼度が高くなります。

権威者からのコメントを入れる

実際の権威者からのコメントを入れることで、無意識に権威への服従原理が働き、信用してしまうという心理効果も生まれるため、ビジネスにも有効となるでしょう。
権威を使ったビジネス成功させるなら、権威者からのコメントは欠かせないものと言えます。

HPに肩書き・実績を掲載

商品やサービスに関して関連している人物の肩書きや実績をHPなどに掲載すると、信憑性を高められます。
さらに、権力のある人物であることも同時にアピールできるため、ビジネスとしても成功しやすくなります。

ステルスマーケティングや捏造には注意

高島吉成
高島吉成
権威を使ったビジネスにおいて、最も注意しなければならないのはステルスマーケティング捏造です。

ステルスマーケティングは商品を直接紹介するのではなく、全く関係ない第三者によって宣伝していないように見せかけて紹介していく行為です。
第三者が特定のジャンルにおいて影響力があった場合、ジャンル内では権威を持っていることから権威への服従原理が働きます。
そして、ステルスマーケティングや捏造によって商品を過大評価してしまった場合、大きな騒動に発展する可能性もあるので気を付けましょう。

まとめ

権威への服従原理は誰でも体験している心理効果であり、ビジネスではマーケティングに活用することが可能です。
しかし、ステルスマーケティングや捏造は大きな騒動に発展するので、権威への服従原理の仕組みや正しい活用方法を理解することが大事です。

また、下記ページでビジネスで使える心理学20選を紹介していますので参考にしてください。

マーケティングで使える心理学20選・コピーライティングやマーケティングに超活用できます。

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takashima yoshinari
1967年生まれの富山県高岡市育ち。双子座です。好きな食べ物は「激辛カレー」&「タンドリーチキン」and「鰹のたたき」。オンライン講座ビジネスの専門家です。高額塾に参加したけどWEBマーケティングを実装できない、何から手をつけて良いか分からないという経営者や個人起業家の方を手厚いコンサルティングでサポートしています。ちなみに毎日、頭にシェイビングクリームを塗ったくりTの字カミソリで剃るのがモーティングルーティーン。