初頭効果は、心理学において、第一印象が記憶に残り評価に影響することを言いいます。
第一印象がその後も左右するのですね。
初頭効果と同時に親近効果という言葉もビジネスで使用されますが、2つの言葉の意味や内容は異なっているのです。
今回の記事では、
ビジネスで重要な初頭効果
親近効果の意味や取り入れ方
についてご紹介します。
初頭効果とは?
最初の情報が後に影響を与える現象
初対面の誰かと出会った時、相手の顔や服装、髪形などの見た目や表情、話し方などの情報から相手がどのような人なのかを判断します。
最初の判断で相手の印象を決めてしまうため、その後相手の印象をなかなか変えられないというのが初頭効果です。
初対面の相手の印象は出会って6秒までの間に決まると言われており、最初のイメージや好きもしくは嫌いなタイプなどが記憶や印象として残ります。
最初に感じた印象は、その後も継続して変わりにくくなってしまうのです。
特にビジネスの場では初対面の印象が大きく関係し、初頭効果によってプラスの印象を相手に与えることで物事をスムーズに運べるようになります。
過去の実験例
初頭効果は、ポーランド出身の社会心理学者ソロモン・アッシュ氏が行った実験によって提唱された心理効果であり、1946年に行われた実験によって証明されています。
実験の内容は以下の通りです。
ある人物の性格を言葉の順番を入れ替えて2つのグループに伝えました。
・Aグループ・・・知的、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い
・Bグループ・・・嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的
伝える順番を変えただけですが、2つのグループに人物の印象を聞いたところ、最初に知的と聞いたAグループでは好印象という印象が出てきました。
しかし最初に嫉妬深いと聞いたBグループでは、好印象どころか印象が悪いという結果になってしまいます。
最初にポジティブな言葉を聞いたAグループは、少々マイナスな面があっても能力があると判断したため悪い印象に感じなかったのですが、
最初にネガティブな言葉を聞いたBグループは、良いところがあっても総合的な印象は変わらないという判断をしたため、悪い印象の方が強く残ったということです。
つまり、見た目だけでなく言葉であっても最初に受けたものがその後の印象に大きく影響することが実験結果で判明しました。
最初に受けた印象はその後も大きく関係していき、なかなか変えることはできません。
相手に与える第一印象を良くするために、外見だけでなく表情や話し方にも気配りすることが大切です。
初頭効果と合わせて覚えておきたい、親近効果とは?
親近効果とは?
親近効果は最後に起こった出来事などが記憶に残るため、相手の印象に残りやすいという心理効果となります。
上記で紹介した実験では、初頭効果によって最初にポジティブな言葉を聞いたAグループでは好印象、最初にネガティブな言葉を聞いたBグループでは悪い印象が残りました。
親近効果となると、最後に聞いた言葉の方が印象に残りやすいため、初頭効果の実験とは反対の結果になります。
親近効果についても、アメリカの心理学者であるアンダーソン氏が模擬裁判を通じて証明していました。
実験の内容は以下の通りです。
模擬裁判にて、陪審員の判断の変化を観察しました。
証言は弁護側と検事側に6つずつ用意します。
A:弁護側2つ、検事側2つの証言を交互に出していく
B:一方の証言を6つ出し、次にもう一方の証言を6つ出す
AとBどちらの場合でも陪審員は、最後に証言をした側が有利になる結論を出しました。
実験内容から最後に出された情報が与える影響は大きいと判断し、情報に左右されやすいとことも分かったのです。
初頭効果と親近効果の関係性
最初の印象に左右されやすい初頭効果に対して、最後の情報が有力になる親近効果は、ビジネスの場でも重要なポイントになります。
しかし、初頭効果に対して親近効果は正反対の意味を持ち、お互いの関係性に矛盾を感じると思いますが、人間がどの部分に影響を受けるかは異なるため、初頭効果も親近効果もお互いが重要な関係性であることは間違いないでしょう。
最初に影響を受けやすい人は最後の情報に左右されにくく、また最初に影響を受けにくい人は最後の情報に左右されやすいという構図が出来上がります。
関心度が低い相手は初頭効果で最初にインパクトを与え、関心度の高い相手は親近効果で重要な情報を最後に提示するなど、相手に合わせた提供方法に変えられると高い効果が期待できるでしょう。
例えばサービスや商品の説明を行う際に、最初にデメリットを説明してしまうと相手に対して悪い印象が残ってしまいます。
しかし、どちらの効果も最初と最後の印象が残りやすいため、中間にデメリットを紹介することで印象が残りにくくなり、良い印象だけが残りやすくなるということです。
相反する効果のように感じますが、使い方次第で高い心理効果が期待できます。
初頭効果と親近効果をビジネスに取り入れる方法
第一印象(見た目)に気を遣う
第一印象が重要な初頭効果では、見た目が大きく関係してきます。
だらしない服装や話し方、固い表情では相手に良い印象を与えられません。
第一印象で悪い印象を与えてしまうと相手の興味を引くこともできなくなってしまうため、ビジネスにおいては致命的とも言えるでしょう。
第一印象を良くするためにも身だしなみを整えて、きちんと挨拶するなど好感を持たれるように気を遣ってみましょう。
明るくハキハキした印象や表情の良さは好印象を与えるだけでなく、その後の相手との関係をさらに良好にする可能性があります。
頑張っても思うような初頭効果が望めなかった場合、3回目までに挽回できるように努力してみましょう。
人の印象は3回目で固定される『スリーセット理論』というものがあり、3回目までに好印象を植え付けることが重要とされています。
スムーズで良好な関係構築のためにも、相手からの印象を考えてみましょう。
ポジティブな言葉を使うようにする
ポジティブな言葉を最初に使うと良い印象を与えられる初頭効果を用いて、相手に良い印象を与えていきましょう。
伝えたい内容は順番を変えることで、相手が受け取る印象も変わってきます。
しかし、伝えたい内容の中にはネガティブな内容やデメリットに感じる話をしなければならないこともあるでしょう。
初頭効果を用いるならネガティブな内容は最後の方に持っていくと良いのですが、関心度の高い相手の場合は重要な内容を最後にした方が受け取りやすくなってしまいます。
基本的にはポジティブな言葉を多く使い、どうしてもネガティブな内容やデメリットに感じる内容を伝える時は会話の間に挟んでみましょう。
相手にインパクトを与える
初頭効果と親近効果において、重要になってくるのは相手に与えるインパクトです。
効果によってインパクトを与える順序は異なりますが、相手にインパクトを与えて印象に残せるかがビジネスにおいて重要となるでしょう。
大きな声での挨拶や笑顔、言葉遣いなど、話の内容だけでなく視覚でも印象を残せます。
過剰な印象付けは相手に不快な思いをさせる可能性があるので、相手にとってどんな印象がプラスになるかを考えてインパクトを与えるようにしましょう。
まとめ
相手にとって印象の残り方が異なるため、それぞれの効果を使い分け、相手に良い印象を残してみましょう。
また、下記ページでビジネスで使える心理学20選を紹介していますので参考にしてください。