吊り橋効果は、不安や恐怖を感じた時、同じ場所で出会った相手に恋愛感情を抱く心理効果を言います。
恋愛面による心理効果でもありますが、吊り橋効果はビジネスでも活用できることを知っていますか?
今回は、吊り橋効果の特徴やビジネスではどのように活用できるかをご紹介します。
ピンチな状況に立たされた時、人はどのような感情を抱くかご存知ですか?
同じ境遇に立たされた方がいた場合、人はお互いを意識し合う傾向にあります。
吊り橋効果はドラマや映画のシーンでも多く使われることがあり、多くの人々の共感を生んでいるのです。
吊り橋効果は恋愛面の要素が強い心理効果だと思われがちですが、ビジネスでも様々な場において活用できます。
ビジネスの場では実際にどのような効果を発揮してくれるのでしょうか?
吊り橋効果とは?
吊り橋効果の特徴
心理学でもよく知られている吊り橋効果は、心理学者のダットン氏とアロン氏の「生理・認知説の吊り橋効果」という実験によって明らかになりました。
実験内容は、18歳~35歳の独身男性を対象に固定橋(高さ3m)・吊り橋(高さ70m)の両方を渡ってもらい、橋の真ん中で女性からアンケートを受けてもらうというものです。
アンケートは簡単なもので、男性は女性から「結果に興味があれば後日連絡ください」と言って連絡先を渡されます。
後日、連絡してきた男性は高さ70mの吊り橋を渡った男性がほとんどだったことが分かりました。
高さがあり揺れる吊り橋を渡った男性は、不安定でスリルがありドキドキした経験が恋愛感情だと思ったようです。
結果的に、緊張したり恐怖を感じたりすると、人は目の前にいる異性に対して恋愛感情を抱きやすいということが判明しました。
吊り橋効果は、興味・関心がなかった異性でも相手を意識するきっかけを作る効果があります。
恋愛における吊り橋効果
恋愛における吊り橋効果は、日常の様々なシーンで起こる現象だと言われています。
学生時代、同じ部活に所属していたり、同じ習い事をしていたりするなど、共通点がある男女がカップルになっているのを目にしたことはありませんか?
運動で心拍数が上昇している時や、緊張する機会がある環境で過ごしている時には、吊り橋効果が働きやすいです。
お互いに好きなタイプではなかったとしても、運動や緊張によってドキドキすることが恋愛感情だと勘違いするシチュエーションが多くなります。
今まで接点がなく意識していなかった異性でも、同じ仕事を任されたり行動を共にしたりすることで気になり始めたという経験をされた人もいるでしょう。
吊り橋効果は恋愛に発展するきっかけを作ってくれるのです。
吊り橋効果はどんな時に発生しやすい?
1.新生活を送り始めた時
吊り橋効果が発生しやすい時として挙げられるのが、新生活を始めた時です。
進学や就職などで新しい生活をスタートする時期は、恋が芽生える時期だと言われることがあります。
期待を膨らませながら新生活を待ち望む方もいますが、中にはこれまでとは違った環境で暮らしていくことに不安を抱えている方もいるでしょう。
不安やストレスが大きくなりやすいからこそ、この時期に会った異性に対しても意識しやすくなるのです。
2.お酒を飲んでいる時
アルコールには、血液の流れを促進させ心拍数を上げる働きがあります。
お酒を飲んで心拍数が上がると、普段よりもテンションが高くなる傾向があります。
お酒が入ると大胆な行動を取りやすいことも相まって、普段であれば何とも思わない異性でもドキドキしてしまう可能性が高いです。
合コンがお酒の席で多いのは、吊り橋効果の影響が大きいからではないでしょうか?
3.お笑い番組やスポーツ観戦をしている時
お笑い番組やスポーツ観戦の場でも吊り橋効果は働きやすくなります。
人は、笑うことでドーパミンが分泌されて心拍数が上がりますが、そんな状況の時に異性と共に過ごしていれば吊り橋効果が働く可能性が高いです。
心拍数が上がっている時は、一緒にいる相手に対して恋愛感情を抱くことがあります。
また、スポーツ観戦でも同様で、異性と勝つか負けるか不安や緊張を抱えながら見ることで、吊り橋効果が発生しやすくなります。
ドキドキがスポーツ観戦によるものなのか、一緒にいる異性によるものなのか分からなくなってしまうのです。
スポーツを一緒に楽しむ場合でも、同じように吊り橋効果が発生する可能性が高いでしょう。
吊り橋効果をビジネスに活用してみよう!
社内の雰囲気・団結力を向上させるために活用する
その1つが、社内の雰囲気や団結力を向上させるためにマーケティングに活かす方法です。
企業は、マーケティング戦略に従業員の団結力やチームワークを掲げているところも多いでしょう。
社内の雰囲気や団結力を向上しようと考えているのであれば、社内イベントを設けてビンゴゲームや抽選会といった従業員参加型の企画を考えることもおすすめです。
普段とは違う和やかな雰囲気の中であれば、一緒に楽しんでいる方に対して仲間意識が芽生える可能性があります。
また、難しいプロジェクトや新事業における取り組みを共にした従業員同士も、困難を乗り越えた経験からお互いを高め合い成長していけるでしょう。
困難から乗り越えた経験を、飲み会で1つのエピソードとして話すのもおすすめです。
苦労しながらも成長した達成感を共有することで、意識を高めながら仕事に取り組めるようになります。
商品・サービスのキャッチコピーに取り入れる
吊り橋効果を使ったキャッチコピーもおすすめです。
怖い思いや不安を感じている時はもちろん、困難を乗り切った時に抱く達成感・連帯感は、消費者の共感を生む場合があります。
簡単に言えば、消費者が企業に対して共感できるキャッチコピーにすることです。
例えば、積み重ねてきた努力が実った成功体験や、ピンチを乗り越えて誕生した商品などをキャッチコピーにします。
また、生産者や作り手の立場ではなく、商品やサービス主観でキャッチコピーにするのも良いでしょう。
「厳しい環境に耐えた結果、甘くて美味しい〇〇になりました」といったようにキャッチコピーを考えれば、商品やサービスに親近感を抱かせることもできます。
会社ホームページの『社長プロフィール』でも吊り橋効果は得られる
他にも、ホームページにある社長プロフィールや挨拶などを掲載することも、吊り橋効果を発揮させる方法の1つです。
社長がどのような経歴を持っていて、会社を成長させるために歩んできた道のりはどのようなものだったかを載せていきます。
社長のプロフィールや挨拶などで実際に苦労した体験を載せれば、会社に対する距離感が縮まるでしょう。
まとめ
吊り橋効果というと恋愛の要素が強いと思われがちですが、ビジネスでも活かせる場がたくさんあります。
会社の団結力を高めるきっかけになったり、商品やサービスを訴求したりと、吊り橋効果を発揮すれば生産性向上・売上向上につながる可能性が高いでしょう。
顧客や消費者から共感してもらえるよう、吊り橋効果をビジネスに活かしてみてはいかがでしょうか?
また、下記ページでビジネスで使える心理学20選を紹介していますので参考にしてください。