「心理的財布」という心理学の一種を活用することでマーケティングで売上アップを図ることができます。同じ商品でも人によって財布の紐の固さに違いがあります。心理的価格設定を行い、消費者の購買意欲を高めて販売数や売り上げを伸ばしていきましょう。
消費者の購買意欲を引き出すのは簡単なことではありません。
しかし、マーケティングにおいてはある心理学を用いることで購買意欲を刺激することもできるのです。
この記事では
心理学のひとつ「心理的財布」の種類や左右されるパターンに加え、購買意欲を高めるための心理的価格設定について解説していきます。
消費者の心理をコントロールしたいと考えている方は参考にしてみてください。
心理的財布の商品やサービスの種類
心理的財布具体的にどういうもの?
心理的財布とは、同じものでも状況や欲求によって財布の紐がゆるくなったり固くなったりすることを言います。
心理学者の小嶋外弘らが、人間は商品やサービスを購入する際の状況に応じて、金銭感覚の異なるいくつかの心理的財布を持ち、使い分けているという考えから名付けられました。
例えば、実際に持っている財布はひとつだとしても、お金を支払う用途としては生活用品や食費のほかに、趣味であったり息抜きのために使用したり、贅沢をするためにお金を使うでしょう。
しかし、生活用品の心理的財布においては価格の安いものを選んで購入するにも関わらず、趣味のものには価格を気にせず購入することもあるでしょう。
欲しいものであれば多少価格が高くても欲求を満たしてしまう人は多くいるのです。
そして心理的財布には4つのパターンが存在しています。
個人内商品内
個人内商品内は、購入する人やものが同じであっても心理的財布は異なることを意味します。
例えば、ご飯を誰かに奢る際、相手が会社の後輩と好きな人では財布の紐に違いが表れます。
ご飯代の3000円を奢る場合は、好きな人であればまたデートをしたい分、喜んで支払いを済ませるでしょうが、後輩であれば「次はもっと安い場所でご飯を食べよう」などと不満を感じることがあります。
こうした心理が個人内商品内に分けられるのです。
個人内商品間
個人内商品間は、購入する人は同じでも購入するものによって心理的財布が異なることを意味します。
これは、生活費は節約するけど趣味のものにはお金を掛ける心理です。
好きなアイドルの写真集が3000円だった場合は躊躇せず購入するにも関わらず、スキルアップのための教材が3000円だった場合には購入するのを躊躇ってしまう、こうした心理のことが個人内商品間に分けられます。
個人間商品内
商品は同じでも購入する人によって財布の紐に違いが表れることを個人間商品内と言います。
例えば、あるアーティストが好きな人がライブに行きたいからと友人を誘います。
そのアーティストのライブチケットは5000円なのですが、誘った人は好きなので5000円でも安く感じて購入するでしょう。
しかし、誘われた友人は興味がないため5000円のチケットを高く感じてしまうのです。
同じものでも人によっては価値が異なるといった考えが個人間商品内です。
個人間商品間
個人間商品間は、購入するものも人も異なる際に用いられる心理的財布です。
人によっては、購入したいと思うものに違いがあるということを意味します。
例えば、スマートフォンのケースが欲しい場合、「安いものが良いけどデザインは可愛いものが欲しい」といった考えを持つ人や「高くても良いからスマートフォンを守れる機能性の高いケースが欲しい」と考える人もいます。
同じ部類の商品でも、性能や価格、デザインによって欲しいと思う度合は人それぞれといった考えのことを個人間商品間と言うのでしょう。
心理的財布に左右されるパターン
1万円の使い方
上記のことからもわかるように、同じ1万円であっても人やものによって安く感じたり高く感じるほか、購入する状況や場所によっても感覚に違いを出すことができます。
例えば、1万円のコース料理があるとすると、特別な日や記念日で利用することはあっても、日常生活で何気なく足を運ぶことは無いに等しいはずです。
自分の子供に対して使う1万円と親戚の子供に対して使う1万円にも感情に違いがあるでしょう。
このように同じ1万円でも使い方によっては感じる感情に違いが表れるのです。
学生・社会人
学生や社会人によっても、心理的財布には違いが表れます。
学生の場合はアルバイトや親の仕送りで生活をしている人が多いです。
一方、社会人は自分で稼いだお金で生活を送っています。
お金の余裕に違いがあるため、同じ商品でも出してもいい価格に違いが表れるでしょう。
商品のお得感
しかし、300gのヨーグルトは150円、300mlのヨーグルトは155円だった場合、どちらがお得だと感じるでしょうか?
多くの人は300g150円のヨーグルトを選ぶのではないでしょうか。
しかし、ヨーグルトは水よりも重いので単位量で考えると300mlで155円のヨーグルトの方が安いことが計算をするとわかります。
しかし、消費者の多くは計算して購入はせず、その見た目からお得だと感じ、手に取ることが多くなるでしょう。
クレジットカード払い
人は、現金とクレジットカードではクレジットカードを利用することで心理的財布が拡大すると言われています。
クレジットカードは、カードを出すだけで商品を購入できます。
お札や小銭を出すことがなく、引き落としも商品を手にした後になるため、罪悪感を感じにくいのです。
また、クレジットカードによってはポイントが溜まるものも多いです。
商品を購入することでポイントが溜まっていき、還元されることでお得を感じるのです。
マーケティングではポイントやクレジットカードでの支払い時にサービスをすることで、集客や売り上げを伸ばせるヒントが隠れているかもしれません。
心理的価格設定で消費者の購買意欲を高めよう
名声価格
世界でも価値のあるものや希少性の高いものは、高い価格をつけることで商品価値が高まります。
宝石やブランド品などの贅沢品や希少価値の高い商品は、無理に価格を抑えてしまうと消費者は偽物だと感じてしまいます。
誰もが高いと感じているものであれば、価格が高くでも安心できるものを購入したいという心理が高まるものです。
端数価格
商品を端数価格にすることで安いイメージを植え付けることができます。
スーパーに行くと、98円や198円などの端数で売られている商品を多く目にするでしょう。
それは、価値が同じであっても価格差以上に安いと人間が勘違いしてしまうためです。
100g100円のお惣菜と98g98円のお惣菜では、98円の方がお得だと感じてしまうように、消費者に与える心理的な影響は大きくなるのです。
3段階価格
中間の価格品を選ぶことの多い人間の心理を利用してマーケティングを行う方法です。
段階なので、安い価格のもの、通常価格のもの、高い価格のものに分けて価格を設定します。
こうすることで、人は真ん中の通常価格のものを選んでしまうのです。
例えば、福袋が3000円、5000円、1万円と3種類あった場合、中間の5000円を選ぶ人が多くなると言います。
この方法は様々な業界で活用されています。
価格の均一化
100円均一だけではなく近年では300円均一で様々な商品を取り扱っている企業が増えてきました。
安価均一であれば、必要のない商品までも購入してしまう人間の心理を利用したマーケティング法でしょう。
例えば、写真を保存できるアルバムで30枚保存ができるものが230円、12枚保存できるものが100円だった場合、瞬時にどちらが安いか判断できますか?
100円という価格であれば安心して購入できるという心理を利用した手法です。
セット価格
同じ商品ではなく違う商品をセットで購入することで、通常よりも安く設定された商品です。
洗剤と柔軟剤がセットで売られていたり、歯磨き粉と歯ブラシがセットで売られていたり、見たことがある人も多いでしょう。
購入されることが多い利益の低い商品と購入されることが少ない利益の高い商品を組み合わせすることで販売数だけではなく、利益を伸ばすこともできます。
まとめ
また、下記ページでビジネスで使える心理学20選を紹介していますので参考にしてください。