ハロー効果が与える影響力とビジネスでの活用方法

心理学の1つであるハロー効果はマーケティングから人事でよく用いられていますが、どのような現象なのでしょうか？良い面も悪い面でも発揮される心理学なので、活用する際は特徴や注意点の理解が求められます。今回は人やものの評価に発揮されるハロー効果や活用事例などをご紹介しましょう。

高島吉成

こんにちは、高島吉成です。
心理学の1つにハロー効果というものが存在します。

ハロー効果は人やものを評価する際に発動する心理効果で、普段の生活の中でもよく表れる現象です。
ハロー効果の影響を受けた評価は良い面もあれば、悪い面もあるので、上手く活用するためにはどんな影響力のある心理なのか知ることが大切です。
また、どんな場面で活用できるのか、ビジネスではどう活用できるか知りたい方も多いでしょう。
今回は評価を左右するハロー効果の特徴や活用事例などをご紹介していきます。

ハロー効果とは？良い面もあれば悪い面もあります。

ハロー効果って何？

ハロー効果は、人やものの目立つ特徴の影響を受けて、他の要素まで目立つ特徴と同じイメージで評価してしまう心理です。
名称で使われているハローとは、聖人が描かれた絵画に見られる頭の上や背後に浮かぶ後光・円光のことで、後光効果や光背効果、ハローエラーなどの別称も存在します。
古くから認知されている心理ですが、米国の心理学者のエドワード・ソーンダイクが命名しました。
ハロー効果は大きく分けてポジティブハローとネガティブハローの2種類があり、良くも悪くも効果が発揮されてしまうことがあります。

ポジティブハロー効果

ポジティブハロー効果は良い特徴が目立ち、後の評価も現実よりもポジティブな内容で評価される心理効果です。
例えば、初対面でしっかり挨拶ができて、身だしなみも整っている人物という印象が強く残れば、他の部分でも誠実であろうと評価されやすくなります。
上手く活用すればマーケティングや恋愛面で効果を発揮してくれるでしょう。

ネガティブハロー効果

ネガティブハロー効果はポジティブハロー効果とは真逆で、ネガティブな一面を強く感じると別の評価まで低くなってしまう心理効果です。
たった1つの要素でも大きなネガティブ要素が目立つ場合、それ以外も好ましくない可能性があると先入観が生まれて評価や判断をされています。
最初の印象が悪いと本質や本来のパフォーマンスを披露する前に終了する可能性もあるでしょう。

ピグマリオン効果との違い

ハロー効果と似た心理学にピグマリオン効果というものが存在します。
ピグマリオン効果とは誰かから期待されることで、期待通りの成果を出しやすくする心理効果です。
ハロー効果もピグマリオン効果も認知の歪みに作用するものですが、大きな違いは影響の範囲が個人か他人かという点でしょう。
ピグマリオン効果は期待をかけることで他者の潜在能力を引き出す心理であり、他人に影響を与える作用を持ちます。
ハロー効果は他者に対して歪んだ形で評価する心理であり、あくまでも自分個人の中で評価の見え方が変わってしまう現象という違いがあります。

ハロー効果の事例集

出身大学・年収

ハロー効果で一番分かりやすいのは出身大学や年収でしょう。
同じ大学でも学校によってレベルは大きく異なり、難関大学と聞くと優秀な学生が揃っているイメージが先行するはずです。
学業で優秀な人物ということは必然的に仕事でも期待できると考える人は多く、ポジティブハロー効果により個人的に期待を持ちやすくなります。
特に労働実績のない新入社員はポテンシャルが評価されるので、難関大学出身という強みは採用側にとって魅力的です。
ただし、高学歴でも必ず実績を出すとは言えないので、採用側は本質を見抜く力が必要でしょう。
年収は高い人も仕事では有能なイメージがあり、合コンなど出会いの場では有利になる傾向があります。
たとえ、見た目が冴えなかったり、好みでなかったりしても年収が高い特徴は事実を歪めてしまうほど高い効果があります。

商品・サービス

高島吉成

認知度の高い芸能人が特定の商品やサービスを使っていると、「あの人も使っているから」という理由で購入や利用を決断する人は多いでしょう。

この場合は、商品やサービスよりも愛用する芸能人のイメージが強く残り、売れる傾向があります。
また、最近ではyoutuberやインスタグラマーなど一般人でも芸能人並の影響力を持つ人が増えており、影響力を持つ人物によって購買意欲は刺激を受けやすいです。

スポーツ

ある程度、スポーツができる人や積極的に運動をしている人は、運動神経がとても良いというイメージを与えやすいです。
スポーツ万能というイメージもハロー効果によるもので、実際は特定のスポーツ以外は苦手という人は少なくありません。
有名なアスリートの中にも実は球技や自転車が苦手という話もあるので、ハロー効果には先行するイメージから真実を歪めてしまうことが十分に分かります。

恋愛

ビジュアルの良い男女を見ると憧れるけど自分では釣り合わない、絶対に付き合えないという感情が生まれるのも1つのハロー効果です。
外見が良いと全てが優れていると思い込んでしまい、ハロー効果により恋愛面では積極的になれなくなることもあります。
恋愛面で良い方向に発揮させるためには相手が何を求めているか考え、その答えに合ったポジティブな印象を与えることが重要でしょう。

ハロー効果のマーケティングへの活用は無限大

面接にも影響を与えやすい

面接はハロー効果が表れやすいシーンと言えます。
短い時間で対象人物のことを理解し、自社にふさわしいかどうか選考をしなければなりません。
選考の絞込みで目安となりやすいのが、容姿や身だしなみとされています。
テレビ番組での実験では一般人とモデルで面接を行ったところ、面接官は容姿や身だしなみが整ったモデルを採用に選択しました。
やはり、清潔な外見だとハロー効果によりポジティブなイメージが先行し、選ばれやすい傾向にあるのです。
他にも大学卒業は高校や専門学校卒業よりも魅力的に移りやすく、難関大学出身だとさらに面接で良い影響を与えることでしょう。
ただし、面接官とほとんど接点がない、目立つ特徴がない場合は全体的に評価が落ち込む可能性があります。

マーケティングにおける活用方法

人は外部の影響を受けるため、活用すればハロー効果を用いたマーケティングが可能です。
外部から与える影響とは口コミや利用者本人の評価、SNS,専門家の意見、受賞歴、売上高・金額といった数値データになります。
例えば、ネットショップの場合、実際の店舗ではないので一般消費者の口コミからお店が評価されます。
また、医薬品や化粧品なども個人的な感想は役立ちますが、やはり医療の専門家から評価の方が一般消費者にとって購買の意思決定につなげやすいでしょう。
マーケティングで活用する際の注意点は、ハロー効果を取り入れようと誇大表現にならないことです。
誇大表現は適切な選択やの阻害や不公平な競争を生む原因となるため、法律で厳しく取り締まっています。
事実の中からアピールできる価値を見つけ、プラスの印象を与えるマーケティングを施策しましょう。

人事評価の誤差を避けるために知っておくべきこと

ハロー効果の影響で事実とは違う誤った人事評価を行わないためにも、誤差を避けるために知るべきことを把握しておきましょう。
人事評価での誤差を避けるためには恒常性と客観性を明確にし、意識して評価することが重要です。
恒常性とは評価される側に変わったところが見られない限り、何度評価しても同様の結果となる仕組みです。
実現するには評価基準や評価する項目をはっきりさせましょう。
能力評価なら知識・技能・コミュニケーション、得意評価なら業務態度・協調性、行動評価なら課題発掘・問題解決、成果評価なら業績などの項目が考えられるので、会社や経営方針に応じて決めていきます。
同時に客観的な先入観・感情が混じっていないか、事実と行動を基準にしていると評価に対する正当な理由の明記も必要です。
客観性は誰が評価しても同じ結果になる仕組みですが、部下との関わり方で若干の誤差が生じるでしょう。
大きな誤差でなければ容認範囲と考え、評価エラーを減らせる特訓を行ってみてください。
例えば、講師がエラーケースを紹介する講義や評価する側で基準やエラーについて協議するグループワークなどを行うことで、客観的に評価する力が養われます。