マーケティングに役立つ罰への欲求とは
メリットばかりを表現するのではなく、あえてデメリットを記載してカバーできる点を付け加える。そのことにより消費者に安心感を与えられるという行動心理学になります。
心理学を用いて、消費者に安心感を与え、商品・サービスの利用につなげたいと思われる方は多いでしょう。
人間は、いつでも合理的に判断し行動できるわけではありません。
様々な気持ちの中で葛藤を繰り返すので、場合によっては間違った行動を取ってしまうこともあるでしょう。
罰への欲求は、そんな合理的に行動できない人間の心理に着目した行動心理学です。
そこで今回の記事では、
罰への欲求活用方法
もご紹介していきますので、是非、あなたのマーケティングに役立ててください!
マーケティングに必要とされる罰への欲求
罰への欲求とはどのような心理効果?
ある時、自分にラッキーなことが起きたらどのように感じるでしょうか?
ほとんどの方は、思ってもいなかった出来事に素直に嬉しく感じるでしょう。
しかし、ラッキーが連続で起こったら不安に感じる方も多いです。
本来であれば幸福に感じる出来事でも、連続すると何か悪いことが起こるかもしれないと感じてしまいます。
中には私みたいに、良いことが続いてしまうと、悪いことが起こってくれた方が安心できると思う方もいるじゃないかな。
罰への欲求とは、幸せ過ぎても後が心配になってしまう心理状態を言います。
元々、罰への欲求はアメリカの深層心理学者であるE・ディヒターが唱えた心理現象です。
ディヒターは、自身が手掛けた著書の中で、人の心の中では快楽と罪悪感がぶつかり合っている状態のとき、消費者には安心感を与える必要があることを述べています。
つまり、メリットばかりを表現するのではなく、あえてデメリットを記載してカバーできる点を付け加えた方が消費者に安心感を与えられるという事なのです。
実際の効果事例
深層心理学者のE・ディヒターは、1950年~1955年のアメリカの出来事を罰への欲求の効果事例として挙げています。
1950年から1955年にかけて、アメリカでは太り過ぎや虫歯などは砂糖菓子が原因であると言われていました。
国民は原因と言われている砂糖菓子を避けようと、菓子製品の購入を避けるようになっていきます。
菓子製品の消費が10%も減少してしまったことで、ディヒターは消費者の抵抗感を減らすためにあるキャンディを販売しています。
販売したキャンディは、一口サイズで大きなケースに入れたものでした。
甘い物は一口だけで、後は捨てて良い商品として販売した結果、キャンディの売上が向上したのです。
この消費者行動は消費者の心の根底にある消費動機を探しだすモチベーションリサーチによるものです。
簡単に言うと商品を買う自分または他人への言い訳ですね。
ディヒターは、消費者にメリットとデメリットの両方を提示したことによって、安心感を与えてたんですね。
罰への欲求の具体的な活用方法
罰への欲求を企業のマーケティングでどのように活かすと良いのでしょうか?
罰への欲求を満たすためには、良いことだけではなく悪いことも取り入れて消費者に安心感を与えなくてはなりません。
消費者が商品やサービスを購入する際には、「〇〇が欲しい」「こんなものがあったら利用したい」といった何らかの欲求があります。
気になる商品やサービスを選ぶ時には、当然その欲求を満たしてくれるかどうかで比較していくでしょう。
そんな時、魅力的なキャッチコピーやコンセプトがあれば、手に取る可能性も高いです。
しかし、良いことしか書かれていなければ不安に感じます。「ほんとかよ?」って感じで
そして、再度商品を戻してしまう場合もありますよね。
罰への欲求を満たすには、このような消費者の心理状態を理解し、安心感と信頼感を与える表現をプラスしていかなくてはなりません。
デメリットを記載しつつ、「〇〇すれば解消できる」とデメリットをカバーする文言を加えることが大切です。
両面提示は、説得力が強いため消費者に信頼感を与える効果があり、売上アップを目指せます。
罰への欲求をマーケティングに活かすのであれば、消費者が感じている罰への欲求を満たすものが何か明確にしていきましょう。
分かりやすく説明するために、投資を例に挙げてみましょう。
投資では、リスクがなく高い収益が見込めると記載されていても、本当かどうか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか?
一方で、リスクが低く高い収益と記載すれば、不安に感じても多少のリスクはあると理解できます。
全くリスクがないと伝えるより、リスクがあっても高い収益が見込めると伝えた方が消費者は安心できるのです。
加えて、リスクが低いにも関わらず高い収益が望めるのはなぜなのか、理由がきちんと述べられていると不安をより取り除けます。
デメリットを伝えながら対策を盛り込めば、消費者の心理を先回りすることができるのです。
ビジネス以外で現れる罰への欲求
罰への欲求は、ビジネス以外の場面でも身の回りで起こりやすい心理現象です。
例えば、宝くじに当たった時に「運を使い果たしてしまった」と感じて、今後悪いことが起きてしまうだろうと思ってしまうケースです。
ダイエット器具の購入を考えている方の場合、「痩せないかもしれない」という不安を抱いている方も多いでしょう。
しかし、商品が紹介されているカタログやWebページにネガティブな要素に触れつつ、毎日簡単に使用できる方法が記載されていればいかがでしょうか?
それなら自分でも続けられそうと思う方も多いでしょう。
この他、ディヒターの事例のように、大袋のお菓子よりも小分けになっているお菓子を選ぼうとする傾向も、罰への欲求を満たそうとする消費者の心理が関係しています。
また、罰への欲求は恋愛面でも効果が発揮されます。
好きな人がいる場合、良い雰囲気だったり距離が縮まったりすると幸せな気持ちになりますが、相手は何とも思っていないかもしれないと不安になるケースです。
付き合っていて特に不満はなくても、このまま幸せな状態が続くのか不安になるといったケースは罰への欲求につながります。
よく耳にするマリッジブルーやマタニティーブルーも、罰への欲求が影響しているのです。
実際に、同じような思いを経験した方も多いのではないでしょうか?
罰への欲求は、ビジネス以外でも様々な所で起こる心理現象です。
まとめ
今回は、罰への欲求がもたらす心理効果やマーケティングへの活用方法などをご紹介してきました。
企業がマーケティングを図る際には、消費者にとって自社の商品・サービスがどれだけ魅力的に感じてもらえるかを重視する傾向があります。
しかし、消費者が抱く不安を少しでも解消するためには、罰への欲求を満たすことも大切です。
人間は、良いことが連続して起こると無意識に「何か悪いことが起こるかもしれない」という心理状態に陥ります。
罰への欲求を満たすには、商品・サービスのデメリットを伝えながら、デメリットに対応したものやサービスをプラスすることで売上アップにつながります。
現状に満足している場合でも、豊かなポイントが加わったり効果的な使用方法が明記されたりする場合には、思わず手に取ってしまう方もいるでしょう。
企業が商品・サービスにどれだけこだわりを持ち自信があっても、消費者に伝わらなければ意味がありません。
消費者の心理現象の1つである罰への欲求を上手く活用し、売上アップを図ってみてください。
また、下記ページでビジネスで使える心理学20選を紹介していますので参考にしてください。